Print

ボードゲームに風が吹く(4)

2015年9月8日 - ボードゲームに風が吹く / 連載

北野 克哉

#4 ドイツのボードゲーム ≒ 日本の漫画

「ドイツのボードゲームってのは、日本における漫画なんですよ。」

これはボードゲーム未経験者にドイツゲームの話をする際、興味を持ってもらう&イメージを掴んでもらう為によく使う伝家の宝刀フレーズである。この一言で急にドイツのボードゲームが近く感じられはしないだろうか? 私はそのように感じられると信じてバカみたいに多用しているので、否定は一切受け付けない。ここは私の顔を立てて無理にでも首を縦に振ってもらい先に進ませてもらおう。さてさて、この伝家の宝刀フレーズの根拠は大きく2つある。1つはどちらも本当に種類が多いということ、もう一つは作者で作品の購入を決定することがあるということである。種類の多さについてはこれまでも話してきたので、作者で買うという部分にふれてみたい。

まずは漫画について。我々日本人にとっては普通のことであるが、作者の名前で漫画を買うことがある。鳥山明先生の新作が出たから読もう!とか、浦沢直樹先生の作品は全部読んでおきたい!とか、そういったようなことだ。多くの人が当たり前にこの購入方法を採用しているので、売り上げが作者の名前で大きく変わってくる。これは、海外ではそれほど普通のことではないらしい。(最近では少し事情が違うそうだが…)。単純に、キャラクターにファンがついてその作品が読まれるのだ。基本的にはそこまでで、日本ほど作者が尊敬され人気者になることも少ないんだそうだ。(これは出版社がキャラクターを持つというシステムによるところも大きいそうだ。)

で、ドイツのボードゲームだが。ドイツ人はボードゲームをデザイナーで買うのだ。クニツィア先生の新作だから買おう!とか、クラマー先生の作品だから面白いだろう!といったようなことが普通に行われている。日本のマンガ同様、作者の名前が売り上げに大きく影響を与えるし、作者が作品を超えて尊敬され人気者となっている。注目が作者にもあるから、クラマー先生は夫婦仲がいいとか、ローゼンベルグ先生はゲームのやり過ぎで大学を6年行って中退してるとか、そういった作品と関係のない情報も海を渡って、日本のコアなゲーマーたちが話していたりするのである。また、日本の漫画家先生同様にサイン会などもよく行われる。最近では東の果て国ニッポンにおいても、来日サイン会が開催され、アナログゲーマーたちが行列を作っている。かく言う私もサインを所有しているので、自慢のサイン入りゲームの一部を見て欲しい!

4-1img

*こちらがボードゲーム好きで知らない人はいないクニツィア大先生から、貨モッツァ作者・北田喜多助(私と大田兄弟の連名)へのサイン

 

4-3img4-2img

*こちらは、映画「レザボア・ドッグス」から着想を得た「キャッシュアンドガンズ」の作者・ルドヴィック先生のサイン。ゲーム内の銃をいきなり突きつけて、「サイン、プリーズ!」と、ちょっと危険なサプライズでゲット!

是非とも、こういったゲームそのものとは違った楽しみ方も覚えておいて欲しい。ゲームデザイナーを知っていくと、その人の作るゲームの特徴の変化が見えてきたりして、それを把握するのもまた楽しいのである。さてさて、半ば強引にサイン自慢を加えてしまったが、多少なりともドイツのボードゲームが日本の漫画と近いということをわかってもらえただろうか? であれば、あなたがやることは簡単である。日本に憧れる海外のマンガファンが如く、ドイツのボードゲームに熱狂するための一歩を踏み出すだけである。日本の漫画と同じくらい広い世界があなたを待っている。そして、あなたのような人が増えれば、日本のボードゲームはさらに盛り上がり、いつの日か日本からドイツに向けて熱狂の逆風を吹かせることも夢ではないのだ。さぁ、一緒に風を吹かそう、日本から世界に、ボードゲームの熱い風を!  セイッ

 ★おまけ★
素人にしったかできるボードゲーム知識
「スタートプレイヤーは、最近 ◯◯ したプレイヤーです。」

以前、スタートプレイヤーを決める時に多く使われている “ゲーマーズじゃんけん” を紹介したと思うが、ゲームによってはスタートプレイヤーの決め方が説明書に記載されていることがある。
例えば、“最も年配のプレイヤーがスタートプレイヤーです。”といった具合。
中には条件をゲームのテーマに合わせてある説明書もあって、ゲームスタート前にクスリとさせてくれる。
例えば、「パンデミック」という感染症の世界的流行を食い止めるゲームでは、“一番最近風邪を引いた人” がスタートプレイヤー。
アートをテーマにした「モダンアート」では“一番最近、美術館を訪れた人“がスタートプレイヤー。
さらに、秘密工作員をテーマにした「シークレットミッション」では、”最も忍び足が上手な人“。お互いのプライベートが少しみえるので、知らないプレイヤー同士の距離を縮めるのにも一役買っている。
この「◯◯な人がスタートプレイヤー」を一度プレイした時に覚えておいて、何かのゲームでこのようなスタートプレイヤーの決め方が出た時に、いくつか披露すると結構やってるプレイヤーに見られる。是非、挑戦してみて欲しい。

4-4img

※ちなみに新ボードゲーム党の若きエース、佐藤くんが作った話題作「タイムボム」では、 “最近爆発したプレーヤー” がスタートプレイヤー!! さすがエース、大胆だ!


 

◎ 北野 克哉
1976. 5. 6生
1999年ヤングマガジンお笑い新人オーディションに優勝し、芸人として浅井企画に所属。1年で解散。キャイ〜ン・ずんに拾ってもらい同事務所所属の構成 作家に。「関根勤のオレたち妄想族」などラジオを中心に活動。団体「新ボードゲーム党」を立ちあげ、オリジナルゲーム「貨モッツァ」制作などもしている。 最近、急にぬいぐるみによるアート活動も開始した。
Twitter @kitano2010

kitanokao1

LINEで送る

› tags: ボードゲーム / 北野克哉 /