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ボードゲームに風が吹く(5)

2015年12月24日 - ボードゲームに風が吹く / 連載

北野 克哉

#5 双子のすゝめ

「まず、あれをとってから…」
「そうだね」
「で、その後あれを…」
「そうしよう!」

私がボードゲームを始めた頃に何度となく聞いた会話である。この会話を聞きながらニヤニヤをこらえていたのを時々思い出す。声の主は私のよく知る双子、新ボードゲーム党の大田兄弟である。ボードゲーム界隈をウロウロしている人であれば、新ボードゲーム党の双子といえばわかる人もいるかもしれない。いや、まぁ、知らない人の方が多いであろう。
突然、知らない双子の話をするんじゃないと、ご立腹のあなた、まぁそうカリカリしなさるな。別にこの双子のコトは知らなくても良いのだ。今日は、ボードゲーム仲間に双子がいると便利ですよってお話をしようと思うのだ。

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大人がボードゲームを買うようになって最初にぶつかる壁がある。この壁はおそらくドイツよりも日本の方がはるかに高いであろう。それは “共にゲームを囲む人を集める” という壁だ。この壁に関してドイツの壁はもう崩壊しているようなものだ。日本と比べてボードゲーム人口が桁違いなのだ。何千万人という世界で、おそらく人を集めるのは容易である。一方で、日本の壁はとても高い。「ボードゲーム」というキーワードで休日に大人を集めるのは思った以上に難しいのだ。「やってみたい!」と言われてもなかなかその日は訪れない。そして問題は、その高い壁をなんとか超えた時にもう一つ壁が現れるということだ。それは、“ゲームのプレイ人数と集合した人数のズレ”という壁だ。

 

例えば、4人プレイのゲームを遊びたいと思って、4人の人物を集めようとしたとする。すると4人ピッタリ集めるというものも以外に難しいことに気がつく。働き盛りの大人が4人もいれば1人が突然来なくなるということも大いに起こるのだ。しかし、3人になってしまってはできない、あるいはつまらなくなるゲームもたくさんある。それは怖いので5人に声をかけて、もし、そのまま全員が揃えば、4人が適正人数のゲームはやりにくくなったりもする。今の我々のように500以上のゲームを所有していれば、その時の人数に合わせてゲームを選ぶことができるのだが、ボードゲーム覚えたての頃にはそうはいかない。買ったゲームにあった、ちょうどの人数が欲しいのだ。これはなかなか難儀である。勿論、ゲームデザイナーの努力によって4~6人、3~8人といった具合にプレイ人数には幅がある。あるのだが、ベストな人数というものがあり、それがネットなどでも書かれていたりすると、どうせならベストな状態でやりたいとなる。
が、そのハードルがなかなか高い。ピッタリは難しい。ところがどっこい、我々、新ボードゲーム党は初期段階のそのハードルが一段低かったのだ。それは、メンバーに双子がいたからである。

 

この双子というのはとても便利なのだ。例えば4人プレイのゲームをしたいのに5人集まってしまった時、彼らは2人で1プレイヤーをやってくれる。これで4人プレイは可能となる! これは、一心同体、2人で1人の双子だからこそできる技で、他人同士や年の離れた兄弟でやったとしたら確実に上手くいかない。なぜなら戦略面でのシンクロ率が低いからだ。そうなると半分は自分の意見が通らず楽しさは半減する。ボードゲームは1人でも楽しくない人がいては成立しないのだ。ところが、双子ならばシンクロ率が高いので楽しくプレイできてしまう!(いや、まぁ、ウチの双子のシンクロ率が異常に高いだけかもしれないがw) 我々はこの双子のスーパープレイによって、プレイ人数に厳しく縛られることなく、気楽にゲームを買い増やしていくことが出来たのだ。初期段階でのこのアドバンテージは非常に大きかったと思う。

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そこで、冒頭のセリフとなってくる。

「まず、あれをとってから…」「そうだね」「で、その後あれを…」「そうしよう!」

これは双子のチームが、みんなに聴こえるヒソヒソ声で次の一手を相談しているセリフである。一応、ヒソヒソ声風にしてるのが笑えるのだ。。実は、これが、この双子1チームテクニックの大きすぎるデメリットではあるのだが、これはこれで楽しいのだ。

初期の頃はこのヒソヒソ風打ち合わせで彼らの次の一手がわかり、有利にゲームを展開したこともあったが、そのうち彼らがそれに気が付き、このヒソヒソ話にブラフを仕込んでくるようになったりする。そうなってくると、ゲームにいらない深みが出てくるのだw

「そんなのはゲームと関係ないから楽しさとしては邪道だ!」という意見は受け付けない。ボードゲームの楽しみ方に縛りはない。勿論、“全員がルールを守って全力で勝ちにいく”という縛りは大前提だ。しかし、私は、それ以外で生まれる会話やコミュニケーション、可笑しみもボードゲームの醍醐味だと思っている。これは、ゲームデザインをやってみて気がついたことだ。自分のゲームを遊んでいる人達が、ゲームをキッカケに会話をして笑ったり仲良くなったり、それこそがアナログボードゲームの存在意義なのではないだろうか? マニアやデザイナーにになってしまうと戦略や先進性に目がいってしまいがちだが、忘れてはいけないことである。

新ボードゲーム党には今日も双子のヒソヒソ風が吹いている。

 

★おまけ★

新企画 こんなボードゲーマーは嫌われる!
「長考がすぎるボードゲーマー」

ボードゲームにおける“長考”の問題。基本的にプレイヤーが長考になるということは真剣に勝ちにいっている証であるので、ある程度は許したいところではある。だが、何事にも限度はある。私はかつてゲーム会で1手に15分長考され、その挙句、打った直後に「ちょっとやり直していいですか?」と言われたことがある。そのプレイヤーとはもうやらないようにしているのだ。ゲームに入り込むのは素晴らしいことだが、みんなと一緒に遊んでいることは忘れないようにしたい。

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★おまけのおまけ★

ボードゲームと関係なく申し訳ないですが、私がトークライブを開催します。興味があれば是非!!
http://kitano3.com/?p=146


 ◎ 北野 克哉
1976. 5. 6生
1999年ヤングマガジンお笑い新人オーディションに優勝し、芸人として浅井企画に所属。1年で解散。キャイ〜ン・ずんに拾ってもらい同事務所所属の構成 作家に。「関根勤のオレたち妄想族」などラジオを中心に活動。団体「新ボードゲーム党」を立ちあげ、オリジナルゲーム「貨モッツァ」制作などもしている。 最近、急にぬいぐるみによるアート活動も開始した。
Twitter @kitano2010

kitanokao1

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