
TALK ROOM 第3回 「トーキョー・バナナ・トーク」
2016年3月15日 - TALK ROOM / TOPICS / 連載
TALK ROOM <第3回> あっこゴリラ × 狐火 × サイトウケイスケ
「トーキョー◊バナナ◊トーク 」
今回のTALK ROOMは、HIP-HOP そしてラップ!、、というのも前回参加して頂いた絵描きでイラストレーターのサイトウケイスケさんの熱烈リクエストで、2人のラッパーあっこゴリラさんと狐火さんを迎えてのトーク。進行はサイトウさんにお任せして、ラップを始めるきっかけ〜エピソード、気になるセルフプロデュースの話やSNSの事まで。もちろんフリースタイルでいきます。かなり長いですけど3人の勢いを感じるはずです!!
ゲスト:あっこゴリラ(以下:あ )・ 狐火 (以下:狐 )
進行 :サイトウケイスケ(以下: サ )
【キッカケ】
サ:まずは最初にうちらが出会ったキッカケとかを話した方がいいかなと思ってます。
あ:何でしたっけ?どう繋がったんでしたっけ?
狐:僕とあっこさんがですか、、?
あ:そうだ!(狐火さん > サイトウさん)こうやってこうだ!
狐:ええ、いろいろあってですよね。
サ:狐火さん中心にっていう感じですよね。
あ:(狐火さんが)中心人物!狐火会だっ!ヤバいっボス!(笑)
サ:僕が狐火さんを知ったのは(東日本の)震災後で、それまで知らなかったんです。震災がおきてすぐにTSUTAYAに「27歳のリアル」のアルバムがでてて、それで<レペゼン福島>っていうPOPがでてて、ジャケットを一目見たらギャングスタ・ラッパーの人だと思ったんですけど、聞いたら全然違って。そこからハマっていって福島のライブに出演をお願いして出てもらったのがキッカケですよね?
狐:そうですね。酒蔵でライブをしたんですよね。
サ:それから同い年っていう事にも気づいて。その後ちょっとづつ、、
狐:そうですね。それで何回かあったりしてるうちにサイトウさんが上京されたりして・・・。
サ:そうです。そこからまたTシャツ頼んでもらったりもして。
狐:そうですね。
サ:(狐火さんとあっこゴリラさん)二人はどこで知り合ったんですか?
あ:えっとー、綱島温泉で。アレっていつでしたっけ? 2012か2013年。私が一方的にライブを観てTwitterをフォローして。たぶん私が<公式マーク>ついてたから謎だなって感じて、フォロー返してくれたんですよ。で、その後に私がラップ始めて「あっこゴリラ」でサバイブしてたら、狐火さんが存在を知ってくれて、「一緒に曲つくりましょう」って初めて声かけてくれたのが、狐火パイセンっ!
サ:はじめてだったんだ。
狐:なんでフォローしてくれたんだろうって思って。その時のYouTubeみたら、すごく面白いことやってるなあって、、。
あ:ああそっか、*ハッピーバースデー(wiki) やってた時か!やりながらふざけてやってた時かなあ?! 綱島でチミドロとかが出てて、アゲアゲなイベントの中で狐火さんめっちゃ暗い、みたいな。
狐・サ:(笑)
あ:暗いっていうか、、内々に。なんかこう、虎が往復してる感じでずっと下向きながらラップしてて。
狐:、、檻の中でみたいな(苦笑)
あ:そうそうっ!だからかなりパンチがあって。
サ:そうなんですか?
あ:だから狐火さんからはじめてTwitterのDMで「よかったら一緒に曲つくりませんか?」ってきたとき、超テンションあがった!
狐:わあ、それは嬉しい。
あ:ヤバい!やばすぎる、あの狐火さんがっ!みたいな。しかも私もともとバンドマンだから、「オマエ、狐火と曲やってんの!? ヤバいじゃん!」みたいに人気なんすよ。
狐:ええ、、スゴい嬉しい。
あ:狐火さん良かったっすねえ。やりましたねー!最高っ!!
狐:ハイ、、。なんか恥ずかしい(笑)
サ:それで、その曲であっこちゃんを知って、去年の9月に個展にあっこちゃんが来てくれて、フライヤーとアルバムジャケットのデザインを頼んでくれたという流れ!
狐火 -Tシャツ/ あっこゴリラ-アルバム「TOKYO BANANA」
<YouTube>
マイアミネガティブ / 狐火 feat,あっこゴリラ Track by SHINJI-coo-K
サ:あっこちゃんの事も一応訊いていいかな?
あ:私もともとはピアノを6歳から18歳までやって、その後ドラム始めて、そのドラマーとしてやってたバンドがメジャーデビューして、それで去年解散して、その解散する一年前位から趣味でストレス発散にトラックをつくってラップをやってたっていう事と、ハッピーバースデーのバンドのアンコールとかでおふざけでやるラッパーみたいなのと、その両方で私の中にラップがあって。それでバンド解散キッカケで本腰いれてガチでやろうって。それが2015年の4月ですね。
サ:2015年の4月でしょ。まだ一年経ってないってこと?
あ:解散は去年の4月ですけど、本腰いれだしたのは3月かな。3月にはじめてバトルでたから、約一年。
サ:スゴいですよね。
あ:だから、この一年はすごいサバイブした。
サ:ラップを始めたキッカケが、ストレス発散だった?
あ:そうですね。ドラムって「言葉」じゃないから、どうしても突き刺したくて。それで気づいたら自然発生ではじめた。
サ:そもそも音楽をやりたいっていうのは、どこらへんにあったの?
あ:やりたいと思う前にもう6歳からピアノをやってて。音楽やっててガチになったのは、10代の時にバンドでドラム叩いてて本気でウワーッ!てやった時に「これだっ!」って思ったかなあ。
サ:そうなんだ。
あ:スネアが転がって、シンバルがバーンッて倒れて、私は髪ボウズで、みたいな。それで気づいたら足から血が出てるっ、みたいな! (笑)
サ:ははっ(笑)
僕はいま絵を描いてますけど、元はバンドあがりなんです。落書きとかばっかりしてて、高校が鬱屈しててヤンキーとかもいっぱいいて、ベランダでニルヴァーナ聴きながら弁当食う、みたいな感じで。
あ:個展のタイトルが「らぶばず」でしたもんね。
サ:そう。あれは完全にニルヴァーナの曲だけど。そんな時代にエレキギターにであって、そこから表現をしたいって欲望がでて、それがずっと続いてるっていう感じなんです。
狐:へえー。
サ:狐火さんの場合は僕と同じ歳ですけど、ずっとラップじゃないですか?どこらへんからラップに入ったんですか?
狐:ラップですか、う〜ん、、。
あ:照れんなよ~っ!!
狐:いや、、出身が福島の山のなかで、まわりに同級生どころか人が住んでないくらい山の中で。
あ:ヤバいっすね、それ。それじゃあ、木こりとかいます?
狐:木こりとかもいますし、家の裏は炭焼き小屋で。東白川郡ていう観光名所とかもないようなところで。それで小さい頃は家で飼ってた小鳥を・・・
あ:やばいっ!ジュウシマツ?!
狐:いや、インコですww 小鳥といえばジュウシマツみたいな?(笑)
あ:・・・みたいなイメージあったんで。
狐:そのインコの目線で毎日家族の日記を書くっていうのを中3までやってたんですよ。それを毎回先生に提出していて。
あ:ヤバいっ、いかれてるっ!!
サ:先生にだしてたの?
狐:先生にだして感想を書いてもらうっていう日課というか。そういうのあったんですよ。
サ:それ授業ですか?
狐:授業じゃないです、個人的に。
あ:ははっ!ヤバいわ!(笑)
狐:小学校の時から、お婆ちゃんから貰った日記帳みたいなのに毎日インコの気持ちになって書くっていうのを続けたんですけど、さすがに高校に上がる頃には恥ずかしくなって。それが出来なくなって部活とか頑張る感じで。
サ:そうなんだ。
あ:(部活は) 何部でした?
狐:僕はホッケー部です。
あ:ええ!?
サ:アイスホッケーですか?
狐:東北はけっこうあるんですけど、フィールドホッケーっていう。アイスじゃないホッケーがあるんですよ。
サ:じゃあガチで運動部じゃないですか。
狐:そうなんです、けっこう頑張っていて。その頃は終電までに部活が終わらない事が多くて、父親が帰りに車で迎えに来てくれていたんですけど、その時に車で聴いた「Dragon Ash」がすごい格好よくて。そこからすこしラップをやってみようかなって始めたんです。
サ:小鳥(の日記)として、ずっと文章は書いてたわけですよね。それでスッと入れたりもしたんですか?
狐:そうですね。小鳥の気持ちではないですけど、自分の気持ちになってスッと書きましたね。
あ:私も小説家になろうとした事はある!
狐:エー!いつぐらい?
あ:10代の時、ガチで送ってた。「すばる」とかに本気で。しかも私が男として作ったモノの方が面白いと思ったから、男が書いた体で、ペンネームが「水疱瘡太郎」っていうんです (笑)
狐・サ:ヤバいwww
サ:Dragon Ashはあっこちゃんも 「Grateful Days」のパロディやってたよね?
あ:やってた。あれはもうJ-POPが世代だったから。
サ:僕はその当時ニルヴァーナを崇拝してて、Dragon Ashも HIP-HOP自体も否定してた時なんだよね。
あ:じゃあ、J-POP聴いてないんすか?
サ:高校の時はもう聴かなかった。
あ:まあ、高校はそうかあー。
サ:それまでは、J-POPもすごい聴いてて。けど高校入って現実がクソみたいな感じで、全然たのしくない日常で、そん中で聴くJ-POPが嘘くさく聞こえちゃって。
あ:ありますよねー、思春期!思春期!
サ:遅い思春期なのかもしれない。
あ:そんなこといったら、わたしなんか思春期20歳からきたんで。超遅いんで !(笑)
サ:それで洋楽とか、パンクとかメロコアですよ。AIR JAM世代なんで、毎日ビデオ観てギター弾くみたいな。だからHIP-HOPも触れてなかった。ただ、それが今は捩じれて爆発した感じかも。大学で THA BLUE HERB(ザ・ブルーハーブ)に出会って、「HIP-HIP!これが表現だ!」みたいな感じで聴き始めたんです。
狐:そうなんですねえ。
【 ラップの魅力 】
サ:そこで訊いてみたかったのはHIP-HOPの魅力とか、ラップの面白さっていう事なんです。例えばどこが魅力ですか?
あ:マジでウケるのが、嘘がつけない。ラップがというよりフリースタイルが。嘘がつけないから、年齢詐称したいのに言っちゃって「あっ!!」みたいな事にはなる、そういう事が面白い。
サ:あっはは (笑) たしかにフリースタイルはね。
あ:あと楽しいっ!めっちゃ。クソ楽しい!! 元々ビートもリズムキチガイだから。大根おろしもビートに乗ってやんないと家事できないタイプ。クイックルワイパーする時でも。でもそうすると超楽しい。
サ:掃除しながら、、(笑)
あ:だからそういう意味でラップは最高!
サ:そもそもがビートありきなんだ?
あ:私は完全にそうですね、ドラマーだし。ビートキチガイですね。
サ:それを自負してるのがいいよね。
あ:それで、言いたいことも良いやすいですしね。面白い事が格好いいみたいな部分がHIP-HOPってあるから、そういう在り方がいいな。
サ:確かに、多種多様ですよね。あっこちゃんみたいなラップもあれば、狐火さんのラップみたいな、派遣社員で働いてる心情とかをラップに乗せて歌ってる訳じゃないですか?
狐:そうですね。本当に自由ですね、文字数もつめられて。しかもあれだけ自由なのに「ライミング」とか「韻を踏む」っていうルールがあったりして、逆にそのルールをしないだけで、はぐれ者みたいなアウトローになれるっていうのも、すごく魅力だなって思います。
あ:それ思ったんすよー。(狐火さんは)いつからこのスタイルですか!? 最初はゴリゴリに韻を踏むのを大好きでって感じで、やってくうちに崩していった感じですか?
狐:初めは、2008年に福島から一緒に三人で東京にでてきたグループのメンバーなんです、、。
サ:え、そうなんですか!?知らなかった!
あ:え?!<クルー>ですか?ヤバい!! その時ってジャラジャラつけてました!?
狐:う~ん、、ジャラジャラはそんなに。でも栓抜きみたいなネックレスとか (笑)
あ:おーーっ!そん時の写真とかないんすかっ!?
狐:ないですよー (笑) その時は福島とか東北でちょっと名前が売れ始めて、そろそろ東京イケるんじゃないかって思ってきたんです。けどやっぱり東京は甘くなくて、僕以外の二人は地元に帰ることになって。ひとりになった時にイベントも殆ど入ってなかったんで、最後にLIVEはしなくても何か気持ちだけ伝えたくて、『僕に5分だけ時間をください』っていう曲を一応作って、「5分だけでいいので」って時間を貰ってオーガナイザーさん廻った時に、初めて今の様なスタイルをして。曲は流すんですけど5分欲しい理由だけをずっと話すっていうのをして。それをやり始めてから東京のオーガナイザーさんが結構オファーをくれたりして、YouTubeにのせた曲とかも結構評価されたりして。元々ルールに囚われずに、すごくシンプルに自分がやりたい事をやれば良かったのにって・・・
あ:そう、わかるっ!! それスゲエわかる!あ、だしちゃった。漏らしちゃった!っていうものに周りが即座に反応して廻りだすと、「あ! これだったんだ!」って。私、2015年とかまさにそれですもん。だから超わかる。
狐:じゃあ同じ感じですね。それがターニングポイントで。
サ:絵の場合は修正ができるけど、現場でマイクで言った事って修正がきかないからスゴいよね。
あ:それが超いい。最高!この空気とかムードとか、みんなで共有してる夜を創るみたいな、クリエイトすることだから。だから現場大好き、LIVE最高っ!
サ:(あっこちゃん) すげえライブしてるよねえ?
あ:うん、超してる。LIVE大好き! 私、バンド(ハッピーバースデー)時代は、台本ないと全く言葉を言えないたちだったの。そういう人間だって周りから言われてたし、私もそう思い込んでたの。一言一句「は」なのか「と」なのかくらいに。でも一人になって誰もいないしやらざるを得ないからやったら、いつの間にかフリースタイラーみたいになっちゃって、「えっ !?」みたいな。今だったら真逆で、なんも決めないで良いから、その方が上手くいくっていうか。本当のLIVEができる。この前バンド時代からのお客さんに「バンド時代は、すげえテンション高いし、なんか目合わないしちょっと怖えって思ってたけど、すごいこの人シャイなんだろうなって思ってた。けどいまは目が合って伝わった!」って言われて。やっぱり、当時は鎧を着てたのが分ったんだなあーって。
【原動力】
サ:何かしら皆うまくいかない事があって、最初にストレス発散っていう言葉もあったけど、それに対してやらざるを得ないっていう想いで今まで続いてるんじゃないかなあって。そういう意味でその「原動力」って何なのか訊きたいんです。
狐:自分の場合は10年前くらいにラップやってる先輩達と一緒に、福島のイオンタウンっていう商業施設のフードコートで打合せしてた事があって、先輩が指さした先に上下スウェットの親子がいたんですね。その時に先輩が「このまま福島にいたら部屋着でそういう施設に出るようになっちゃうのがイヤだ、、」っていう事を言ってて。それをキッカケに僕も東京でてきたりしたんです。けど、このあいだ静岡の方の商業施設の向いのライヴハウスのベンチでボーッとしてたら、幸せそうな親子がでてきて先輩の言葉を思いだしたんですよ。でもその時は僕は楽しくもなかったし、逆に向こう側の方が羨ましかったりもして、そこに悔しさもあったりもして。その当時の福島にいたまわりの人達はみんな音楽やめて働いたり結婚したりしてて、自分一人だけ<こっち側>で、<向こう側>はすこし羨ましいけど頑張ろう、みたいな事が原動力にもなっていて。楽しさというよりは、悔しいから頑張ってるというか。昔からそうなのかも知れないですけど、もう少し先を見てたいっていう気持ちもすごく自分にあって。これをしていけば誰も行ったことない何か出来るんじゃないかって、、「前人未踏」とかってなんか好きで、、。
あ:なにが原動力かって話でしょう!? 要するに普通に過ごしてたらつまらなすぎるから、楽しもうとする努力をしなければいけないわけ。私はどうせ死ぬんだから、おもしろい人生にしたいわけ。自分がおもしろくなるには、周りも巻き込みたいし、もっと言えばおもしろい国にしたいし、おもしろい地球にしたいし・・・みたいな。ただそれだけ、そういう事!前のめり!人生OKーっ!!
狐:すごいww! (笑)
サ:そうー!(自分も)そこは全然同じなんですよ。原動力の根本は基本同じだとおもっていて、何もやらないとつまんないし、認められない悔しさとかもあるし、それでやり続けてるっていうのが根底にあって、あっこちゃんもそういう事を自らの使命みたいな事に出来てるっていう事なのかな?
あ:あ、そう!そういうこと。
サ:あっこちゃんはラップを始めて活動としては約一年だけど、ものすごい勢いだと思うんですよね。
あ:まあ、去年はそうですね。
サ:元はメジャーでドラム叩いてたっていうのがあるかも知れないけど、それ以上の何かの作用があると思っていて、、。
あ:でも、元メジャーっていう部分は思ったより利用できませんでしたね。
サ:「利用できません」なんだ?
あ:全然利用してないですね、正直。元メジャーていう事で、ラジオ穫れたりとか、CD展開してもらうみたいなのはナイですね!マジできない。私ももうちょっと出来るもんかと思ったけど、全然だった。
サ:そうなんだ。
狐:でも、自分でもそこまで(メジャーだった感じ)前にだしてないんじゃない?
あ:うん。全然だしてない。それは展開の時にラジオとかで利用出来るのかなって思ったくらいで、それ以外の活動に関しては別にいらない。
サ:たしかに今は「あっこゴリラ」だから必要ないかも。でも、そう考えるとますます面白くて、なぜ一年でスゴい勢いで知名度が上がっていくとか、ライブに誘われていくとか、その回転の仕方がなかなかないと思うんですよ。
あ:「バトル」もデカかったかな。
狐:僕はそれすごく、手の届く範囲に全部手を出してる感じがあって。人がヤル気になればそれ位はいけるんだと思う。
サ:そうだよねえ。それにあっこちゃんのスゴいのはジャンルを横断しまくるっていうところ。
あ:だから、呼ばれたものは全部出ましたもん!キャバクラでライブもしたし、地下のさらに地下の性別も年齢も分んないような自称アイドルと一緒にライブもやったし。お客もガチでオカシイ奴しかいないみたいな。
サ:ヤバいね。
あ:お客も聞く気ないし、マイクも壊れてるし、私以外の女は全員下着だし。そういう環境でどうやってこっち向かせるかとか。でもマイクも入んないんから、ラップも勝負できないし、どういう事だみたいな! (笑)
狐:ええ~、すごい。
あ:とりあえずそこにポールダンスのポールがあったから、ひたすら15分くらいグルグル廻ってたの。でも、2ステージ目はこれじゃいけないと思って、ひたすら客弄り。弄りながらフリースタイル、それで結果めっちゃ儲けた。でも、へんなところですごい神経使って、お酒一滴も飲んでなかったのに、キャバ嬢と同じ送迎車で帰って降りた瞬間にめっちゃゲロ吐いて。買いたてのゴリラスニーカーにぶちまけて、めっちゃショックだった。
サ:それ『マイアミネガティブ』でも唄ってるよね!?
あ:あ、言った言った!それ結構しんどかったけど、でもネタになったから、OK。
サ:でも、呼ばれたものに全部でるってすごいなあ。
あ:だから、去年はゲロ吐きまくりましたね。バトルでも吐いたし、緊張とかストレスで何度もゲロ吐いた。
サ:狐火さんは、アルバムに『 計画売名 』っていうのがあるように、名前を売るっていうことに思入れのようなものがある気がしたんですよ?
狐:ああ、そうですね。2008 年に先輩方が地元に帰って一人になったときに、どうやったら名前が売れるのかって考えて。やっぱり時事ネタというか、 北朝鮮のミサイルとか薬物汚染のニュースとか世の中に広く知られてるものがあれば、2~3日以内に曲をつくって YouTube にアップするとそのニュース目当ての人が聴いてくれたりとか、タイムリーで多くの人が聴いてくれたりとか。
あ:そのスピード感、めっちゃ早いですよねいつも!?
サ:はやい!
狐:自分みたいな人が出ていくとしたら、そういうスピード感しかないかなあって思って。すぐに作って、出して、みたいな。
サ:当時、会社員で働きながらじゃなかったでしたっけ?
狐:そうですね、働きながらです。でも、攻めるならソコしかっていうか。
サ:何となくはそう思ってたんですけど、すごくそれらを計画してやってたんだっていうのは、いま訊いてわかりましたね。
狐:あとはCDショップとかで、「狐火」だったら自分と同じ「き (K)」ではじまるアーティストと同じ日にリリースすると、自分より有名なアーティストの方が写真とか撮るんですね。そこに僕のも入ってたりして、、。だから最初の方、何度かキリコさんとリリースあわせて出してましたね。
あ:へえーっすごーい!!
サ:確かに僕もあっこちゃんのCDが出た時に、タワレコに行ったら隣に色んなラッパーさんの作品が一緒にありましたね。それすごいテクですね。
狐:そうなんですよね。
サ:絵とかの展覧会でも会期をあわせるっていう手があって、大きい展覧会がある時期にやるとか、ある人がやる時期に合わせるとかいうのと同じかもしれないですね。
狐:そうなんですよね。
【プロモーションとSNS 】
サ:僕自身は広報の仕方とかについてとか、どうやったら情報を知ってもらえるかなとか、そういうのを探ってるんです。だからTwitterの活用方法とかも訊いてみたいんですが、けっこう狐火さんの*「エゴサ」のスピードとかはラップ終わって数分後から始めるみたいな事を、誰かがつぶやいてたんですけど?
狐:そうです。そういうプログラムを組んで。
サ:マジすかっ!?
狐:もうステージにまだ引っ込んでないくらいから、始るくらいです、、(笑)
サ:それ、昔からですか?
狐:いや、ここ数年くらい。
サ:Twitterとかが出る前と後では、自分を売っていく方法って変ったと思うんですよ。無い時代は、唄にもでてくるようにデモCD5枚ポケットに入れて直接渡したりとかですか?
狐:そうですね。
サ:あっこちゃんもTwitterはエゴサしてガンガン使ってる感じ?
あ:Twitterは普通に使ってますね。
サ:でもみてると、全部RTするっていうよりけっこう厳選してRTしてるなあっていう印象。
あ:まあ。でも正直な話、私そこまで広報の話したくないんですよ。
サ:え、それはなんで?!
あ:自分はネットでバズって、ネットでのし上がってるタイプじゃないから、やっぱり。現場で私がぶちかました事で、誰かがそれをツイートしてRTしてっていうのは、口コミになるんだけど。ネットで頭使って勝負する系をみんながやり過ぎてて、正直いま私はそこにドキドキしないんです。
サ:そこは逆にオモシロいと思う。 HOW TOを訊きたいというより、どういう考えなのかっていう事をさらっと訊きたいなあと思って。
あ:「ネットでバズらせる」みたいなことに頭を使いたくないんですよ。あくまで口コミ。ネットでバズらせるのは必要なんだけど、それはもうちょっと腹黒いヤツに相棒になってもらって、そいつに任せる。私は<ピュア>だから無理!
サ:ピュア!?
あ:( 狐火さんは) 腹黒い!? 腹黒っ?
狐:い、いやあ、、でも、う〜ん (苦笑)
あ:けど、私は狐火さんの感じを分ってるつもりですよ!
狐:え、本当ですかあ!?どんな感じなんですか?
あ:なにそれっ!なんでそうやって距離おこうとするんだよ~!寂しいよ~っ!(笑)
今回のトーク進行役をしてくれたサイトウケイスケさん
サ:僕はけっこうTwitterとかにすがってる部分もあって、どうにかして自分の活動を知ってもらわないと、後がないぞみたいな感じでいるんですよ。やっぱり話しててTwitterで広報し過ぎると本末転倒になっていくというか、現場主義じゃなきゃいけないんだなって思った。
あ:そうそう。あと宣伝が多すぎるとフォロー外しちゃう。みんなそういうのがあるからバランス大事。
サ:そのさじ加減が、あっこちゃんは上手いと思うんだよ。
あ:私、じつはそういうのめっちゃ考えてるんだけど、それをインタビューとかで話すの違うかなあって思ってるの。わたしはアーティストだし「あっこゴリラ」って背負ってやってる人間だから。だからいま私は三国志作りたいんです。
サ:え、三国志 ?
あ:腹黒い策士が登場してきて、策士にその話は任せるっていう感じで。私はリーダーで。
サ:そっか。自分の場合は全部ひとりでやんないといけないから、、
あ:私だってひとりだよ、策士って妄想だから。これから見つけるの、ワンピースのように一人一人仲間をみつけるんです。
サ:あっこちゃんは、すごい絶妙な肌感覚っていうか。そこを明かさないところがオモシロいなって思う。
あ:本当ですか?!
狐:確かに。
サ:音楽っていうジャンルと、絵を描くっていうことではかなり違う事あるなと思うんですね。そもそも絵って観に行きますか?
あ:私はわりと友達が絵描き多いから。高校のときからの仲いい子はほぼ絵描き。だから個展はよく行く方。画集とかも結構もってる。
サ:狐火さんはどうですか?
狐:ぼくは殆どいかないですね。
サ:「展覧会きてよ」っていうのと「ライブきてよ」っていうのて大分違いますよね。でもどうしたらお客さんがきてくれるだろうっていうのは、音楽の人も考えるんですけど、絵描きの人も考えることだと思うんですよね。それで興味があってきいたりもしたんです。
あ:たしかに。でも展示に足を運ばせるためには「自撮りデコ」っていうのはかなり良いですよね!普通に絵を描いてたら来ないですもん。
サ:ありがとう、そうなんだよ。
あ:だって、「あっこゴリラ」って名前もそうですもん。MCあっこじゃ誰も聴かねえよって!「あっこゴリラ」ってなんだよ?って。
サ:一生忘れないもんね。
あ:そういう意味では「自撮りデコ」って使ってるか使ってないかで、客の入りは全然違いますよね。
サ:あの時の展示はかけてたところもあって、新宿眼科画廊でやったんだけど確実にお客さんのくる展示が一緒にやってていて、自撮りをデコるっていうのもこのタイミングしかないなと思って。
サイトウケスケ個展「らぶばず」での あっこゴリラ & 狐火
あ:私は企画書とかめっちゃ作るタイプですよ。ガンガンつくる。打合せとかでて「こいつ信用した!」ってなって仕事しようと思ったら、もう全部作っていて、プレゼンするの大好きだからマジ!
サ:もう、その話聞けただけですごい満足だわ。おもしろいね。
あ:だって、家の中ノート大量だもん。リリックについてもあるけど曲のアイデアとか、広報的な部分の事もぶわ~っと!私書くの大好きだから、書きまくり。うち来たらビックリするよ。文房具が好きだっていうのもあるんだけどっ。ノートってトキメキません!?(笑)
狐:ははは(笑)
あ:私はそういうのに、貼ったり切ったり、色つかったりモノクロだったり、自由にやるのが大好きなの。
サ:美術の作家っぽいね、そういう感じ。スクラップしていくの。
あ:ええ、そうなんですか。曲も全部まずそうやってるんです。それがヒミツのノートみたいな、爆弾ノートっていうか (笑)
サ:すげえおもしろい。そもそも企画力があるなと思って。
あ:本当ですか?!
サ:「ドンキーコング vol.1」のブッキングから主催もやってるでしょ。まずビビったのが「生誕祭」をしたでしょ、その規模?!普通にポンってやれるようなメンツじゃなかったから、それを廻せるって相当だなって。
あ:あれは私も初めての企画だから結構ビビってた。ヤバいぞ~、これヤバい!って。でもあの時初めて過ぎたから、全部準備していったの。とにかく私のバンドのファンもくるから、1曲ドラム叩くコーナー作ろうと思って。その時黒人が私に紙吹雪まき散らしたらオモシロいだろうなって思って、家でひたすら折り紙を切りまくって、すごい打合せして蒔いてもらった。あれは初めての企画だからちょっとビビってた。
サ:すごいな。なんか頭脳派とかじゃなくて、オレは肌感覚って感じちゃうんだけど、直感的な感じでイメージして、それを具現化できる人なんだと思う。
あ:そう!! イメージが大好き、妄想! これは言えないけど、絶対やりたい次の妄想がもうあるっ!
サ:最後にまとめというか・・
あ:あ!一つ言いたいのが、狐火さんは曲書くのが死ぬ程早い!ヤバい!狐火さん、もう溢れ出ちゃうんですよね~(笑)
狐:さっき極度の人見知りっていったけど、その分帰ってからとか、その時話しなかった事とか、それを曲作るときに書けるのかなってのはありますね。
あ:そう、マグマ人間!!
狐:ちょっと、、マグマ人間はよくわかんないっす(笑)
サ:リリックって一気に書くんですか?
狐:大体そうですね。休みの日の朝に6、7時に起きてドトールにコーヒーを買いにいくんですね。それで買って帰ってきてヘッドホンをして書くと、すごいよく書けるんです。
あ:どこで書くんですか?
狐:部屋で。
あ:ノート?アイホン?
狐:ノートは殆どないですね。PCのメモ帳に打ち込んで。あとよく書けるのは夜ひどく酔っぱらってる時ですかね。昼間はぜんぜん書けなかったりするんで。
サ:三月にもまたアルバムだしますよね?すごいスピードじゃないですか?
狐:そうですね。アルバムって曲が溜まって出しても、スパンが短過ぎると買う側も飽きちゃうかなっていうのがあるんですけど、それを出さないと次が作れないんですよね。曲を溜めておいたまま次を作るっていう気持ちになれなくて、全部出し切ったら次にいきたいっていう、自分の中のメリハリというか。三ヶ月前に書いた曲を同じモチベーションでレコーディング出来ないんですよね。2~3年溜めるっていうのもできないんです。
あ:へえ~。ボツ曲ってないんですか?
狐:ボツ曲もあります。けど、ほとんどないかなあ。途中で止めちゃう曲はあるんですけど。
あ:すごいですね。私ほぼボツ曲ですよ。
狐:いやあ、でも人それぞれなんでw
サ:曲書くっていうのは、自分の毎日のサイクルみたいな感じなんですか?
狐:そうですね。毎日必ずヘッドホンはして、トラックを聴くようにはしてます。
サ:リリック書くのは思いついたときだったり?
狐:そうですね。思いついたときですね。
サ:「どうやって曲作ってるのか」とか気になってる人もいると思うんですけど。
狐:ホームページでトラックを全国から募集してるんですよ。それで送られてくるトラックが多いので、そのトラックを聴きながら書くのが多いので送ってくれてるトラックメーカーさんのおかげが大きいですね。
サ:まだ聞きたいことは沢山あるんですけど、今日はすごく面白い話きけたなあって思いました。でも二人がちゃんと大事な所を押さえて活動してるなあって思いました。それを色んな人がみてそうなんだって思って貰って拡がってくれたらいいなと思ってます。ありがとうございます!
あ:ありがとうございます!仲いい仕事仲間とこういうきっかけで逢えて最高。
狐:聞かれて話すと再確認できてよかったです。あっこさんの話も色々きけて楽しかったです。あとライブ来てください。
あ:そうだっ!!
狐:そうです。
全員:きょうはありがとうございます、お疲れ様でした!
= TALK MEMBER PROFILE =
◇あっこゴリラ:
格好良くて面白いからゴリラって最高だね!レペゼン地球のゴリラッパー。
ライブハウスからアイドル、クラブ、キャバクラ・MCバトルなど様々な場所で活動中。ジャンルの壁を喰らい尽くしている。
テレビ東京「音流~ONRYU~」のリポーターとしての活動や、フリースタイルMCバトル(「戦極MCBATTLE」「罵倒」など)に出場しベストバウトを残すなど、コンクリートジャングルをたくましくサバイバル中。2016年1月デビューアルバム全国発売。
あっこゴリラホームページ
◆狐火(Butterfly Under Flaps.):
オフビートラップとポエトリーリーディングを駆使して1000組のバンドを黙らせた1本マイク。
2008年にアルバムデビューして現在まで12作品のアルバムをリリース。
2012年 SUMMER SONIC出演。
2013年 B-BOY PARK出演。
http://www.butterflyunderflaps.com/
◆サイトウケイスケ:
絵を主軸とし、音と言葉に影響を受けながら、「表裏」「善悪」などの対極性や、「人と人の間」のどうしようもなさを表現するために制作を続ける。また、絵 を描くことは、バンドでエレキギターを弾くことと同等と考える。ミュージシャン等との交流、フライヤー・CDジャケットの制作等もおこなう。上京後「原 宿・渋谷・秋葉原」が好きになり、「アイドル」と「自撮り」に心を奪われる。その他イラストレーション、ライブペイントの活動など。
あっこゴリラ1stアルバム「TOKYO BANANA」ジャケットデザイン担当
サイトウケイスケホームページ
進行:サイトウケイスケ
構成 :平野 倫(アパートメント)